既婚であることを隠された方へ(貞操権侵害)

既婚であることを隠された

あなたが,特定の男性(女性)と付き合っていたとします。その男性(女性)は,実際は既婚者でしたが,あなたに対しては,ずっと独身であると嘘をつき,あなたは,それを信じて交際を続けてきました。しかし,平穏な日々は長く続かず,あなたは,男性(女性)が既婚者であったことを知るに至りました。このような場合,あなたは,貞操権の侵害を理由に,男性(女性)に対し,慰謝料を請求することができます。

貞操権とは,自分の性に対する権利です。交際相手が既婚者であると知っていれば,通常はその相手と付き合うことはないでしょう。既婚か独身かという重要な事項について嘘をついて相手を騙し,一定の期間性的関係を持ち続けたといった場合には,嘘をついた既婚者は,貞操権侵害を理由に慰謝料を支払う義務を負います。

昨今,マッチングアプリの普及に伴い,既婚であることを隠されて男女関係を持ってしまい,後日真実を知って辛い思いをされる方が増えています。貞操権侵害を理由とする慰謝料請求に関する相談は,ほとんど女性から寄せられるという特徴があります。

ここでは,貞操権侵害を理由として慰謝料を請求したい方の心構えや弁護士に依頼するメリット等について,弁護士が解説します。

1貞操権侵害を理由として慰謝料を請求したい方の心構え

独身であると信じていた相手に裏切られていたことを知ったとき,そのショックは計り知れないものであり,しばらくは何を考え,どのように行動すればよいかわからないという方も少なくないと思います。

また,真剣に相手との結婚を考えていた適齢期の女性であれば,不誠実な相手に対し,「絶対許せない。」,「とことんまで責任を追及したい。」といった強い憎悪に駆られることもあるでしょう。

いずれも無理からぬ心情ですが,まずは落ち着き,あるいは,気持ちの昂ぶりを抑え,今後あなたがすべきことを冷静に考えることが大切です。

  1. 相手の氏名,住所,勤務先の把握
    相手に対し,貞操権侵害を理由とする慰謝料を請求する場合,まずは相手の正確な情報を把握することが不可欠です。相手の氏名,住所,勤務先等の情報が得られれば良いでしょう。
  2. 証拠の収集
    相手に対し,慰謝料を請求する前提として,相手が既婚者である旨を隠していたことに関する証拠を収集・準備しておかなければなりません。独身であると嘘をついて相手と肉体関係を持ったというのはあくまでプライベートな事柄です。相手方が往生際悪くこれらを否定した場合には,慰謝料を請求するあなたが,相手方の不実な対応を証明しなければなりません。

あくまで一例ですが,以下のようなものが相手の不実を証明する証拠になります。

  • 相手が独身であると偽っていたLINE,メール,会話を録音したICレコーダー
  • 婚活アプリに登録していた内容,メッセージ
  • 肉体関係を持っていたことを証明する証拠
  • 女性が妊娠・堕胎したことがわかる診断書,エコー写真

上記のような証拠を収集して,あなたが,「交際相手があなたに対し,独身であると嘘をついていたこと」及び「それを前提に2人が肉体関係を持っていたこと」を証明しなければならないのです。

2早期に弁護士に依頼するメリット

貞操権侵害を理由に,相手に慰謝料を請求したい場合には,できるだけ早期に弁護士に相談し,相手方との交渉その他の手続等を弁護士に委ねることが重要です。

その主な理由は,以下のとおりです。

①相手の個人情報等を調査することができる

弁護士には,弁護士法に基づく弁護士会照会という事実調査が認められています。そのため,たとえば,相手が偽名を使っていたため,本名や住所等は知らなかったが,連絡を取り合っていた携帯電話の番号から,携帯電話会社に契約者情報を照会し,その氏名,住所等を特定できるケースもあります。

②証拠収集の方法等について適切な助言,アドバイスをもらえる

LINE,メール,性交時の写真等々,どのようなものが有効な証拠になるか否かを,裁判の素人である依頼者本人のみで判断することは至難の業でしょう。この点,慰謝料請求の交渉や裁判に精通した弁護士に相談すれば,どのようなものが有効な証拠になり得るのか,あるいは,それら証拠の具体的な収集方法等について,適切な助言・アドバイスをもらうことができます。

③相手と直接連絡を取るなどする必要がなく,精神的負担等を軽減できる

弁護士に依頼すれば,弁護士が代理人として相手側との交渉等を行います。つまり,あなたは,相手と直接会ったり,連絡を取ったりする必要はなく,それらをすべて弁護士に委ねることができますので,精神的負担等を大きく軽減することができます。

④法律のプロに交渉から裁判まですべてを任せることで,安心できる

弁護士は,法律を駆使して相手方との交渉や裁判を行うプロです。貞操権侵害を理由とする慰謝料請求を弁護士に依頼することで,弁護士名で相手方と交渉し,示談が難しければ,民事裁判で争うことになりますが,すべてを弁護士に任せられるので,安心して手続に臨むことができるでしょう。そして,弁護士は,事案ごとの証拠関係や過去の裁判例における慰謝料認定状況等を踏まえ,事案に適した慰謝料額を算定し請求していきますので,満足のゆく慰謝料額を獲得できる可能性が高くなるでしょう。

既婚であることを隠された方が,貞操権侵害を理由に慰謝料を請求する場合に,これらのメリットは,非常に大きいです。最小限の負担で満足できる結果を確実に手に入れるために,早めに弁護士に相談することをお勧めします。

なお,貞操権侵害を理由とする慰謝料請求に関連し,司法書士や行政書士がホームページ等の広告を出していることがあります。

しかし,弁護士であれば,証拠収集の助言・アドバイスから依頼者を代理しての慰謝料請求交渉,民事裁判手続に至るまで,すべての手続に一切の制約なく対応することができますが,司法書士や行政書士は,以下のような対応しか認められません。

業務の内容 弁護士 司法書士 行政書士
慰謝料請求の法律相談 △(140万円まで可) ×
慰謝料請求の代理請求,交渉   △(140万円まで可) ×(書類の作成のみ可)
民事裁判の遂行   △(簡易裁判所のみ140万円まで可) ×
弁護士に依頼するメリット

このように,浮気・不倫の慰謝料を請求する場合,司法書士や行政書士では,対応できる業務範囲が限られており,ユーザー視点でみれば,非常に不便です。当初,司法書士や行政書士に依頼した場合,事態の推移に伴い両者での対応が困難となれば,途中から弁護士に依頼し直す必要が生じますが,これでは経済的コストが二重にかかってしまいますし,余計な時間・労力を費やすことになり,とても疲弊することでしょう。

当事務所では,貞操権侵害を理由とする慰謝料請求等に積極的に取り組んでいます。当所弁護士は,20年に及ぶ検事としての捜査公判業務を通じて培われた事実認定力,証拠収集力及び対人交渉力には定評があり,自信もあります。親身になってお話を伺い,お客様ごとの最適解を求めて,迅速かつ適切に対処してまいりますので,貞操権侵害を理由に慰謝料請求を検討されている皆さまも,安心して当事務所にご依頼ください。

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