夫婦で多額の借金を抱え，返済負担に耐えかねている状況であれば，そろって債務整理をすることにより，状況を改善できる場合が多くあります。
ここでは，夫婦で債務整理をする場合に，押さえていただきたいポイントについて，弁護士が解説します。
このページの目次
１夫婦同時に行うことが望ましい
ご夫婦が共に借金を抱えている場合，原則として夫婦同時に債務整理を行うことが望ましく，ご相談をいただいた場合には，その旨お勧めしています。
いずれか一方の借金のみ債務整理を行っても，もう一方の借金問題はそのままなので，家計が改善されにくく，一家の借金問題の根本的な解決にならないためです。
⑴一方の借金のみ債務整理を行っても，家計が改善されない
たとえば，多額の負債を抱えるご主人のみ債務整理を行ったとしましょう。手続を行わない奥様の借金はそのまままので，これまでどおり返済を続けていかなければなりません。奥様が日々の返済に困って更なる借入を行えば，元の借金漬けの状態に戻ってしまいます。
このような状況にならないように，ご夫婦が共に借金を抱えている場合には，ご夫婦が同時に債務整理を行って，借金問題の根本的な解決を目指しましょう。
⑵自己破産の申立てに伴う負担が軽くなる
ご夫婦で同時に自己破産をする場合には，通常，裁判所が事件を一緒に扱ってくれます。それに伴い予納金が安くなったり，裁判所に出向く日にちも同じになったりするので，手続に伴う負担が軽く済みます。
他方，ご夫婦が別々に自己破産の申立てを行うとなると，個別にかかる分裁判所に納める予納金は高額になりますし，手続に伴う負担も重くなりがちです。
ご夫婦で多額の借金を抱え，生活再建のためいずれの自己破産も避けられない状況であれば，同時に手続を進めるのがご夫婦の負担軽減につながります。
２同じ事務所，同じ弁護士に依頼することが望ましい
ご夫婦そろっての債務整理を検討されている場合には，同じ事務所，同じ弁護士に依頼することをお勧めします。
異なる事務所に依頼するメリットは，特に見いだし難く，逆にお互いの状況が把握しづらく，それぞれ必要な対応を迅速に取ることが難しくなるからです。
たとえば，夫婦そろって任意整理をする場合，家計全体として整理手続後にいくら位の返済が可能であるかを検討しなければなりません。しかし，ご夫婦が別々の事務所に任意整理を依頼すれば，それぞれの事務所で他方の返済がどの程度になるかを把握しづらくなりますので，家計の状況に応じた対応を取りづらくなります。
ご夫婦そろって債務整理をするなら，是非ご一緒に同じ事務所，同じ弁護士に相談するようしてください。
３異なる手続を選択することも可能
ご夫婦そろって債務整理をする場合でも，選択する手続が同じである必要は全くなく，それぞれの負債や収入等を考慮して，ベストな方法を選択することになります。実際に，ご夫婦そろって債務整理を行う場合に，ご主人が自己破産を，奥様が任意整理を選択して，ご夫婦の借金問題を適切に解決するということも珍しくありません。
皆さまの中には「パートナーが自己破産なら，私も自己破産しなければならない。」などと不安に感じる方もいらっしゃるかと思いますが，そのような心配は無用ですので，安心してご相談ください。
４ペアローン利用中の注意点
ご夫婦でペアローンを組むと，共有不動産に係る自分の持分に，自分の借入分だけでなく，パートナーの借入分についての抵当権も設定されます。つまり，自分以外の者の抵当権が設定されている状態となり，本来であれば，住宅ローン特則を適用できません。
しかし，それではペアローンを組んでしまったが故に，大切なマイホームを守れなくなるという不都合が生じますので，夫婦がペアローンを利用している場合に限り，特別な取扱いが認められます。たとえば，夫婦でペアローンを組んでいるほか，夫は，カードローン等に対する多額の負債を抱え，妻は，ペアローン以外の借金がないようなケースでは，夫はもとより，ペアローン以外の借金がない妻についても，個人再生を申し立てる必要があるのです。
ペアローン利用中に住宅ローン特則付き個人再生を利用する場合には，夫婦が２人とも個人再生を申し立てなければなりませんので，この点ご注意ください。
５弁護士に依頼するメリット
以上詳しく見てきましたとおり，ご夫婦が共に借金を抱えている場合，原則として夫婦同時に債務整理を行うことが望ましく，家計全体の状況を踏まえた適切な対応を迅速に取るためにも，同じ事務所，同じ弁護士にご相談いただくことをお勧めします。
当事務所では借金問題の無料相談に対応しています。親身になってお話を伺い，皆さまの借金問題の解決に向け，迅速かつ適切に対処してまいりますので，ご夫婦で債務整理をお考えの皆さまも，安心して当事務所にご依頼ください。
