事業承継を行う際の注意点

1事業承継は長期的プロジェクト

事業承継を進めるに当たり注意しなければならないことは,まず,事業承継が大変時間のかかるプロジェクトであるということです。

検討開始が遅くなればなるほど,取り得る手段が限られることになります。

一般的には事業承継には5年から10年程度の時間がかかるとされており,経営者の皆さまには,まず気力体力の充実したうちから,事業承継に取り組まなければならないことを自覚していただきたいと思います。

事業承継をおざなりにしない,喫緊の課題としてしっかり意識いただくためにも,まだ早いと感じる時期から弁護士にご相談いただくことをお勧めします。

2後継候補者の意思も重要

また,事業承継を円滑に進める上で,後継候補者の意思を尊重することも大切です。親族内承継ではよく見られるのですが,現経営者は当然会社を子どもに継がせるものと考えていたが,当の本人にはその気が全くなかった,逆に,子は,時期がくれば,自分が家業を継ぐものと思っていたところ,親の意思はそうではなかった,といったパターンです。

親族内承継であれ,親族外承継であれ,長い時間をかけて後継者候補を教育し,日常の経営活動を共にすることで,当該企業の経営理念の浸透を図っていくことが重要です。

後継候補者の選定や育成にも,私たち弁護士はご協力させていただきますので,お気軽にご相談ください。

3事業承継を行うべきタイミング

ところで,事業承継を行うベストなタイミングとは,いつなのでしょうか?

中小企業経営者の皆さまから,そのようなご質問をお受けすることがありますが,事業承継を検討する企業の具体的状況等によりますので,一概に特定のタイミングを挙げることは難しいです。当該企業がその時点でどのようなステージにあるのか,これからどのようなステージに向かうのか,業界の動向,市場環境や自社の置かれた状況等を整理して把握し,それらの内容を踏まえ,適切なタイミングを探る必要があります。

この点,中小企業庁が公表する「事業承継ガイドライン」の事業承継診断書が参考になります。事業承継を検討するきっかけに,同診断書を利用されてみるにもよいかもしれません。

4事業承継実施後の注意点

事業承継実施後の注意点として,前経営者の立ち位置が挙げられるでしょう。承継後,前経営者は会長に,後継者は社長にそれぞれ就任したものの,従前と同様,会長が経営の前面に出て,社長がやりにくくなってしまう,このようなことが結構よくあると聞きます。

このような状況を放置しては,社内の指揮命令系統が乱れ,社内の派閥対立をもたらし,ひいては組織の衰退につながりかねません。社員からの報告は,社長に一本化させ,会長に対しては,社長自らが報告する,そのような社内報告のルールを明確にするとともに,社長がリーダーシップを発揮しやすいように,会長は,社員の前では,努めて社長を肯定的に評価し,自ら率先して社長を受け入れる雰囲気づくりに努めていただきたく思います。

そして,会長は,あらかじめ定めた期限内に培った経験等を社長に確実に伝承して,期限が来たら潔く身を引く,そのような対応を心掛けていただきたく存じます。

5事業承継を検討されている中小企業経営者の皆さまは,当事務所にご依頼ください。

当事務所では,中小企業の事業承継・M&Aに積極的に取り組んでいます。当所弁護士は,20年に及ぶ検事としての捜査公判業務を通じて培われた事実認定力,証拠収集力及び対人交渉力には定評があり,自信もあります。また,当所弁護士は,法律の専門家として,事業承継をめぐる法的問題はもとより,登録税理士を兼ねておりますので,税務上の問題にもワンストップで対応することが可能です。

親身になってお話を伺い,お客様ごとの最適解を求めて,迅速かつ適切に対処してまいりますので,中小企業の事業承継・M&Aをご検討の皆さまも,安心して当事務所にご依頼ください。

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