令和3年11月29日付け読売新聞朝刊は,政府が来年の通常国会への提出を目指す「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」(DV防止法)改正案の素案が判明した旨報じています。
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1DV防止法改正のポイント
改正素案のポイントは,以下の4点です。
● 接近禁止などを命じる「保護命令」の対象に,従来の「身体に対する暴力」や「生命等に対する脅迫」に加え,「精神的暴力」や「性的暴力」についても規定。
● 保護命令が出された加害者の禁止行為に,SNSでのつきまといや,GPSでの位置情報の特定を追加
● 保護命令違反の法定刑を「1年以下の懲役」から「2年以下の懲役」に厳罰化
● 接近禁止命令の期間を「6か月」から「1年」に延長
2DV防止法改正の背景等
新たに保護命令の対象となる精神的暴力は,たとえば,大声で怒鳴ることや,相手の欠点をあげつらうことを継続的に行うことなどを,また,性的暴力は,たとえば中絶の強要や避妊の拒否,性行為の撮影の強要などを念頭に置いています。
内閣府によると,全国の配偶者暴力相談支援センターなどに寄せられた相談は,年間10万~11万件台で推移してきましたが,在宅勤務等により家庭内で過ごす時間が増えた影響か,新型コロナウイルス感染症が猛威を振るった2020年度は19万件に急増したそうです。同年度に政府のDV相談窓口に寄せられた内容のうち,身体的暴力に関するそれは約3割にとどまり,精神的暴力が6割近くを占めるなど,近時の精神的暴力等に関する相談の急増がDV防止法改正の背景にあります。
3参考情報等
DV防止法改正は,武蔵野大学副学長・人間科学部教授の小西聖子氏を座長とする配偶者暴力防止法見直し検討ワーキング・グループにより議論されており,同WGは,直近の令和3年11月12日までに計7回開催されています。
同検討WGの構成員名簿や議事要旨等については,以下をご参照ください。
https://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/boryoku/wg_list.html
内閣府が所管する「配偶者からの暴力被害者支援情報」は,以下をご参照ください。
https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/index.html
また,性犯罪や,DV,セクハラ等に対する各相談窓口一覧は,以下をご参照ください。
https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/vaw/consult.html