企業におけるリスクマネジメント

 皆さま、こんにちは。

 弊所のコラムをご覧いただき、ありがとうございます。

 本日も企業法務に関する記事を掲載させていただきます。

1 リスクマネジメントの基本的考え方

 企業活動に伴う各種リスクを100%管理することは不可能です。100%に限りなく近づけることは可能ですが、そうするには多大な費用がかかります。最近では、企業の各組織において、それぞれの業務に関連するリスクの洗い出しをする場合が増えていますが、そこでリストアップされたリスクを全て管理することを要請されているわけでは決してありません。各種リスクに対する分析を通じて、当該企業の経営に重大な影響を及ぼしかねないリスクから優先的に管理することが求められています。

 まずは、リスクを認識することが重要になります。管理対象とする必要のないものであっても、組織としてはその内容を認識しておくことが必要です。企業を取り巻く各種リスク及びリスクの顕在化に伴う損失には、以下のようなものがあります。

【自然・人的要因リスク】

・設備事故

・自然災害

・各種公害

・エネルギー問題

・製品、原材料等の安定供給

・製造物責任

・品質低下等

・情報漏洩

・不正アクセス

・情報遮断等

【社会的要因リスク】

・訴訟

・知的財産権

・独占禁止法

・長時間労働

・労働災害

・雇用差別

・内部告発

・情報公開

・地域貢献活動

・文化摩擦等

<損 失>

●財政的損失

・設備損害

・供給停止

・補償等

●人的損失

・社員・第三者死傷

・追加業務発生等

●社会的信用損失

・社員の意識・意欲の低下

・人材、資金徴収力の低下等

2 リスクに対する認識

 各種リスクを認識する方法には様々なものがあります。代表的な方法について紹介します。

 ⑴ チェックリスト方式

   社内規程やマニュアルなど、既に成文化されたものを基に、文書や記

  録の状況などをチェック項目化し、リスクを洗い出す方法

 ⑵ アンケート方式

   過去の経験やその他の情報源から、リスクと考えられる項目をリスト

  アップすることによりあらかじめ候補を準備し、担当者に潜在性の有無

  を問う方法。

 ⑶ ブレインストーミング方式

   複数の担当者により、各種リスクに関してそれぞれ自由に意見を出し

  合い、出された意見を適宜分類してリスクをリストアップする方法

 ⑷ インタビュー方式

   当該業務を担当していない比較的リスク認識力の高い担当者が、イン

  タビュー形式で各種リスクに関する問いかけを行うことで、リスクを洗

  い出す方法。

 ⑸ イベントツリー方式

   ある事象を基に、次々と発展する状況を整理し、可能性を導き出すこ

  とで当該事象が誘引する別のリスクを洗い出す方法

 ⑹ シミュレーション方式

   地震などの災害時や停電など、業務の中断が予測される事象発生時 

  に、どのような状況に陥るのかなど、シミュレーション的にリスクを洗

  い出す方法。

 このようにリスクを洗い出し、その内容を認識する際に、各種リスクが顕在化する蓋然性には当然に差があります。しかし、可能性はゼロではありませんので、「リスクは生じない。」「あり得ない。」といった考えを排除することが大切です。リスクマネジメントでは、最悪の状況を取り上げ、文書化し、可視化することが重要になります。また、「リスクは必ず顕在化する。」「人間は間違いを犯す。」といった前提を受け入れることも必要です。「リスクの顕在化はあってはならないことだ。」と強調し過ぎると、それが過度なプレッシャーとなって、ミス等を隠すようになり、隠蔽工作へと発展するおそれがあります。当たり前のことあっても文書化し、可視化しておくことが大切です。

 全社的リスクマネジメントとしては、企業内の各組織において各種リスクを認識し、管理することが求められますし、「考える」ことが必要となります。それにより組織相互間あるいは社員相互間において認識の相違や新たな気付きを発見することがつながります。

3 リスク評価

 リスクを認識することができたとして、その全てに対応することは難しいでしょう。そこで、認識されたリスクの中から、組織としてどのリスクから対応するかという優先順位を決定することが重要になります。そのためにも、リスクの評価が必要になります。

 リスクの評価方法には、特定の計算式があるわけではなく、企業内のそれぞれの組織が独自に計算式や算出に使用する情報、評価基準などを準備しておくことが望まれます。できれば数値化することで、リスク分析の際に比較検討をしやすくなります。ほかに、リスクの発生頻度の目安やそれを数値化するという方法もあります。

 これは、各種リスクに優先度を付けるための評価ですので、あまり厳密な評価をする必要はなく、以上のように特定されたリスク等につき、リスクが顕在化した場合の企業への影響度と発生頻度を検討し、重要度を算定することとなります。そして、リスクの企業に対する影響度と発生頻度を大・中・小に区分することで、優先度や重要度を判定することになります。

4 リスクへの対応

 各種リスクを認識、評価した後は、実際にリスクに対し対応していくことになりますが、対応は、基本的に、「回避」「低減」「移転」「保有」という4種類に分類することができます。

 まず、「リスクの回避」とは、発生頻度の高いリスクを顕在化させるおそれのある取引は行わないことを意味しますが、リスクが潜在する根本的原因を排除するという意味であることもあります。

 次に、「リスクの低減」とは、リスクの回避はしないとしたものの中で、その発生の予防を行うこと、さらにはその影響度又は発生頻度を低減させることを意味します。その結果、損失の低減につながります。

 さらに、「リスクの移転」とは、リスクの低減対策を講じることが困難な場合、あるいはリスクの低減対策を講じたにもかかわらず、まだ大きな損失の可能性が残っているような場合に、そのリスクを他へ転嫁する、つまり移転するという意味です。このリスク移転の典型的な例としては、保険を付保することや、契約等により他に転嫁し、分担させることなどが当たります。為替変動リスクをカバーするための為替予約などのオプション契約やデリバティブ取引によるヘッジなどもこれに該当します。

 加えて、「リスクの保有」とは、発生頻度や企業への影響度がそれほど大きくないような場合、「何もしない。」という選択をすることを意味します。つまり、リスクをそのまま受け容れることになりますが、あくまでリスクマップなどからは除外せず、リスクの発生可能性や影響度等を認識しておくことが必要です。

 弊所のコラムをご覧いただき、改めて感謝申し上げます。皆さまとのご縁に感謝し、日々精進して参ります。

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