カントリーリスク対応

 皆さま、こんにちは。

 弊所のコラムをご覧いただき、ありがとうございます。 本日も企業法務に関する記事を掲載させていただきます。

1 カントリーリスクの意義

 カントリーリスクとは、一般に「海外投融資や貿易を行う際、個別事業・取引の相手方が持つリスクとは別に、相手国・地域の政治・社会・経済等の環境変化に起因して、当初見込んでいた収益を損なう、あるいは予期せぬ損失が発生する危険」と定義されています。そして、カントリーリスクが発生する具体的な形態としては、以下のような事象が想定されています。

  •  国際収支の悪化等から外貨不足に陥り、個別事業・取引に関わる元本・配当・利息や代金の国外送金が制限される、あるいはできなくなってしまう。
  •  急激なインフレーションや為替相場の変動などで、個別事業・取引に関わる元本・配当・利息や代金の受取金額が大幅に目減りする。
  •  革命などによる政権交代で、新政権が債務の継承を拒否する。個別事業・取引の相手方の資産に対し、国有化や国家権力による収容・没収等の危険性が増大する。
  •  内乱、暴動、外国の侵略、戦争等により、現地における個別事業・取引の遂行に支障を来たす。
  •  国際関係、国際情勢の変化により、個別事業・取引の円滑な推進・遂行が困難になる。

 一般に、開発途上国においては、カントリーリスクが高いと考えられていますが、先進国でも、たとえば財政上の失敗により外貨を獲得できず、対外債務の決済に問題が生じ、事実上の破綻となるような国もあります。このカントリーリスクは、国内総生産(GDP)、国際収支、外貨準備高、対外債務、司法制度などのほか、当該国の政情や経済政策などといった要素を考慮して判断されることになります。日本貿易保険(NEXI)においては、経済協力開発機構(OECD)カントリーリスク専門家会合において、国ごとの債務支払い状況、経済・金融情勢等の情報に基づき議論を行い、それぞれの評価が決定され、このOECDの評価に基づき、国・地域のカテゴリーが決められています。

 このカントリーリスクは、海外への赴任者を守るという観点から、赴任者やその家族の安全を侵害するリスク、たとえばテロ・誘拐等のリスクについても認識されていますが、贈収賄リスク等もその対象になっています。

2 地政学リスク

 また、同様のものとして、地政学リスクというものがあります。これは、一般に、ある特定地域が抱える政治的・軍事的・社会的な緊張の高まりが、地球上の地理的な位置関係により、その特定地域の経済、あるいは世界経済全体の先行きを不透明にすることと定義されています。地政学リスクの二大要因として「地域紛争の勃発」と「テロの脅威」が挙げられており、経済活動がグローバル化する中で、そのリスクは全世界的に影響を及ぼすことが多くなっています。

 現在進行中のロシアのウクライナに対する軍事侵攻のほか、中国の覇権主義的な行動・海洋進出、イランとアラブ諸国の対立、パレスチナ紛争、アフガニスタン内戦、北朝鮮の核開発・ミサイル発射問題、世界各地で多発するテロ問題等があります。

 このような地政学リスクが高まれば、地域紛争やテロへの懸念などにより、原油価格等の商品市況の高騰、外国為替の乱高下等を招き、企業の投資活動や個人の消費者心理に悪影響を及ぼす可能性があります。

 弊所のコラムをご覧いただき、改めて感謝申し上げます。皆さまとのご縁に感謝し、日々精進して参ります。

 東京池袋で企業法務に対応できる弁護士、顧問弁護士をお探しなら「清水法律会計事務所」へ気軽にお問合せ下さい。

お問い合わせフォーム

 

ページの上部へ戻る

keyboard_arrow_up

05055270312 問い合わせバナー