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オフィス移転のご案内
お客様各位
令和5年8月吉日
清水法律会計事務所
代表弁護士兼税理士 清水 登
拝啓 残暑まだ厳しい折 ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、この度弊所は、業務量の増加に適切に対応するとともに、更なるサービス向上を目指し、下記のとおりオフィスを移転しましたので、お知らせ申し上げます。つづがなく移転完了に至りましたことは、ひとえに皆様方のご支援の賜物であると、深く感謝いたしております。
オフィス移転を機にいたしまして、スタッフ一同、より一層業務に邁進する所存ですので、今後とも倍旧のお引き立てを賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
記
<新オフィス>
住 所 〒171-0022
東京都豊島区南池袋2丁目48番3号VORT池袋Ⅱ2階
(令和5年8月末日までダイヤゲート池袋5階の旧オフィスを併用)

東京・池袋の清水法律会計事務所は、元検察官の代表弁護士・税理士が率いる法律と税務の法律会計事務所です。企業法務から相続、債務整理まで幅広く対応し、特に中小企業の法務支援や事業承継・M&Aでは、他士業との連携によるワンストップ対応が可能です。明確な費用提示と丁寧な対話を重視し、初回相談も安心して受けられる体制を整えています。
お知らせ(年末年始休業日)
平素は格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます。
さて、弊所は、誠に勝手ながら、年末年始休業日を下記のとおりとさせていただきます。
年末年始休業期間:2022年12月30日(水)~2023年1月3日(月)
ご不便をおかけいたしますが、何卒ご了承いただきますようお願い申し上げます。

東京・池袋の清水法律会計事務所は、元検察官の代表弁護士・税理士が率いる法律と税務の法律会計事務所です。企業法務から相続、債務整理まで幅広く対応し、特に中小企業の法務支援や事業承継・M&Aでは、他士業との連携によるワンストップ対応が可能です。明確な費用提示と丁寧な対話を重視し、初回相談も安心して受けられる体制を整えています。
弊所ロゴのリリースについて
この度、弊所の経営理念を具体的に想起できるようなロゴの制作を依頼し、下記のロゴを制作いただくことができました。素敵なロゴを作ってくださった制作業者さんに心から感謝申し上げます。

弊所の経営理念に掲げていますとおり、私たちは、真のプロフェッショナルサービスの提供を通じて、クライアントの皆様の健全な成長・発展に寄与し、これらの日々の活動、そして、その実践によって導かれる自己実現を通じて、役職員やその家族の幸福を実現することを目指しています。
弊所ロゴのリリースを機に、気持ちを新たに、一層精進して参りたいと思いますので、今後ますますのご厚情を賜りますよう、お願い申し上げます。

東京・池袋の清水法律会計事務所は、元検察官の代表弁護士・税理士が率いる法律と税務の法律会計事務所です。企業法務から相続、債務整理まで幅広く対応し、特に中小企業の法務支援や事業承継・M&Aでは、他士業との連携によるワンストップ対応が可能です。明確な費用提示と丁寧な対話を重視し、初回相談も安心して受けられる体制を整えています。
契約交渉、契約書の作成等
皆さま、こんにちは。
弊所のコラムをご覧いただき、ありがとうございます。
本日も企業法務に関する記事を掲載させていただきます。
1 契約とその法的拘束力
私たちが日常的に行う経済活動においては、「契約」があらゆる局面において重要な役割を担っています。特に企業活動一般において、お互いの権利や義務等を確認し、また財産の移転等を確認するために「契約」が利用されていることは、皆様ご承知のとおりです。
一般的な企業活動における契約関係においては、通常契約の内容は遵守されるものと期待されていますが、現実にはその内容を遵守できない状況が発生することもあり得ます。そのような場合においては、契約に基づく義務が履行できないことによる損害賠償など、一定の制裁が法的に認められており、これを「契約の法的拘束力」といいます。
「契約」としての法的な拘束力を認めるということは、それに違反した場合に一定の制裁や権利が発生し、その行使が保証されることを意味しています。すなわち、「契約」とは、その履行を強制したり、損害賠償請求が認められたりするなど、一定の法的拘束力を有するものになります。
2 法的拘束力のある契約書
法的拘束力のある約束が「契約」であり、この契約を書面で確認するものが「契約書」です。
一方、基本的な条件がほぼ固まった段階で、一定の合意事項を確認するために、当事者間において議事録や意向書、基本合意書あるいは予備的合意書といった書面を取り交わすことがあります。これらの書面は、未だに正式な契約の締結には至っていないものの、交渉当事者間で、その時点における合意事項を確認する趣旨で作成されます。
これら議事録や予備的合意書については、「契約書」ではないので法的な拘束力はないと即断してしまいがちですが、そのように機械的に判断できるものでは決してありません。最終的に正式な契約の締結まで至らなかった場合に、相手方当事者にその責任があるとして損害賠償請求等を行う場合も決して少なくありません。そのため、契約交渉の途中で取り交わされることのある議事録や予備的合意書等に関して、法的拘束力があるかどうかを明確にしておくことは非常に重要なことです。
3 契約書の作成
当該契約の目的が何らのかの理由で達成されない可能性は常にあります。そのリスクを回避するために、必要なリスク分析がなされ、法的問題を含むリスクや問題が的確に認識され、解決策をあらかじめ規定しておくことが重要となります。そのため、契約書の作成に当たっては、単なる文書作成の技術だけでなく、法的分析力が非常に重要です。
法律実務は、現実に生じた紛争の解決を目的とした「訴訟実務」と紛争の発生を未然に防ぐ「予防法務」に大別されますが、契約実務の世界では、紛争発生後の紛争処理のためにというよりは、紛争を未然に防ぐという予防法務がその大半を占めているといってよいでしょう。
なお、訴訟実務の世界では、現実に紛争となった事案に関して、いかに紛争を解決するかという点に重きを置きながら、紛争処理のための訴訟技術や紛争処理を前提とした法的知識を駆使して訴訟相手を戦うことが中心となっています。法曹実務家になるための法理論教育は、どちらかというと訴訟実務に関するものが多いのは確かです。しかし、予防法務が中心となる契約実務においては、訴訟結果を見据えた法理論の理解も必要で、どちらかといえば紛争予防という目的を達成するための法理論が必要となります。
弊所のコラムをご覧いただき、改めて感謝申し上げます。皆さまとのご縁に感謝し、日々精進して参ります。
東京池袋で企業法務に対応できる弁護士、顧問弁護士をお探しなら「清水法律会計事務所」へ気軽にお問合せ下さい。

東京・池袋の清水法律会計事務所は、元検察官の代表弁護士・税理士が率いる法律と税務の法律会計事務所です。企業法務から相続、債務整理まで幅広く対応し、特に中小企業の法務支援や事業承継・M&Aでは、他士業との連携によるワンストップ対応が可能です。明確な費用提示と丁寧な対話を重視し、初回相談も安心して受けられる体制を整えています。
与信管理等その2
皆さま、こんにちは。
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1 実務上利用頻度の高い担保
実務上よく利用される担保は、以下のとおりです。
⑴ (根)抵当権
(根)抵当権とは、担保物件(不動産等)を担保提供者に占有・使用させながら担保の目的となし、債務の弁済がなかったときにこれを競売し、その換価代金から優先的に弁済を受けることのできる担保権のことをいいます。そのため、不動産を担保の目的とすることが多くあります。(根)抵当権には、既に発生している特定の債権を担保する抵当権と、既に発生している債権だけでなく、将来発生する不特定の債権を担保する根抵当権があります。
根抵当権の被担保債権・極度額の定め方としては、①特定の継続的取引契約から生じる債権、②一定の種類の取引(売買取引、請負取引、金銭消費貸借取引等)によって生じる債権、③特定の原因に基づき債務者との間に継続して生じる債権、④手形・小切手上の債権等という取決めを根抵当権設定契約書において定めることとなります。また、極度額としては、債権の元本のほか、利息、遅延損害金等を含む債権極度額を設定することとなります。
根抵当権は、一定の元本確定事由が発生すると、その時点で存在する特定の元本債権のみを担保するものに変わり、その後発生する債権は担保の対象外となります。
⑵ 質権
質権とは、債権者が担保として提供を受けた物件を、債務が弁済されるまで留置して、債務の弁済がなされなかったときにこれを競売又は任意処分し、その換価代金から優先的に弁済を受けることのできる担保権のことをいいます。
質権がよく利用されるのは、債権者が占有(保管)することが可能な場合ですが、一般的には、株式や債券が利用され、また、特許権・商標権・著作権等の知的財産権に関しても利用されていますが、譲渡担保でも可能です。
この質権に関する対抗要件としては、動産を質権に取る場合は、担保提供者からの動産の引渡しを受け、占有することです。また、定期預金、火災保険、敷金・保証金を質権に取る場合は、第三債務者(質権の目的物が定期預金であれば銀行、火災保険であれば保険会社、敷金・保証金であれば賃貸人)の承諾書を取得し、それに確定日付を得ておくことが必要となります。ちなみに、知的財産権を質権の目的とする場合には、所定の登録手続を行うことが必要になります。
⑶ 譲渡担保
譲渡担保とは、債権者の債務者に対する債権を担保するために、担保提供者(債務者又は債務者以外の第三者)が所有する物件の所有権を債権者に譲渡して、債務者が債務を弁済しなかったときに、その物件から他の債権者に優先して自己の弁済を受けるという担保権をいいます。
しかし、譲渡担保は、抵当権や質権のような法律で定められている典型担保ではなく、商慣習上発生し、判例上認められるようになった非典型担保です。これまで、担保提供者が日常占有し・使用している機械や商品等の動産を担保に取る場合、古くは民法で定める質権という方法しかありませんでした。ところが、質権の場合は、要物性の要請から、担保物件を債権者に引き渡さなければ質権の効力が生じないため、担保提供者は担保物件を自ら占有・使用できないことになり、営業に支障を来たすという問題がありました。
抵当権であれば、担保提供者に占有・使用させたまま担保に取ることができますが、抵当権で担保に取れるのは不動産に限られており、機械や商品等の動産は、工場財団抵当を除き、抵当権の目的物とすることができません。そこで、機械や商品等の動産を担保提供者に占有・使用させたまま担保取得する方法として考え出されたのが譲渡担保です。
なお、最近では、特定債権(たとえば、特定の売掛金等の債権)や集合債権(現在又は将来発生する不特定の債権)に関しても、譲渡担保が利用されることが増えています。
⑷ 担保としての債権譲渡
この債権や集合債権譲渡担保を設定する場合は、譲渡債権を特定するため、第三債務者の住所・社名、譲渡債権の種類・対象商品・発生期間を明記することとなります。
従来は、登記制度がなく、民法上の対抗要件しかありませんでしたが、契約時に第三債務者に債権譲渡通知書を発送すると、第三債務者の信用不安を引き起こすおそれがあります。したがって、債権譲渡通知書は債務者の倒産時に発送せざるを得ませんが、その場合は、「対抗要件の否認」の問題が生じます。そこで、停止条件付型・予約型契約を締結し、債務者の倒産時に効力を発生させ、第三債務者に「債権譲渡通知書」を発送する方法が取られていました。その後、対抗要件の否認を認める判例が出され、停止条件付型・予約型契約は対抗要件の否認の問題をクリアできる有効な手段にならなくなりました。
他方、1998年に動産・債権譲渡特例法が制定され、債権譲渡の対抗要件具備の方法として新たに債権譲渡登記制度が導入されたため、現在は、本契約を締結し、契約時に債権譲渡登記を行っておき、債務者の倒産時に第三債務者に登記事項証明書付き「債権譲渡通知書」を発送するという方法が主流になっています。
この方式は、債権流動化の一環として利用されている債権譲渡においても利用されています。
⑸ 電子記録債権の譲渡担保・質権設定
電子記録債権制度とは、電子記録債権法に基づき、磁気ディスク等をもって電子債権記録機関が作成する記録原簿に電子記録することにより、はじめてその発生、譲渡等が行われることになる金銭債権のことです。
この電子記録債権制度が導入された理由としては、売買取引等により発生する通常の債権(指名債権)は、支払期日まで待たなくては資金化できませんが、指名債権を支払期日前に資金化するためには、指名債権を第三者に譲渡するか、指名債権を手形(手形債権)化し、この手形を第三者に裏書譲渡するかの2つの方法しかありませんでした。しかし、指名債権の場合は、債権の存在や帰属が不明確なためその確認を要し、また譲渡する際の対抗要件の取得に手間がかかるうえ、同一の債権が二重に譲渡されるリスクがあります。そこで、指名債権や手形債権の場合のリスク・デメリットを排除し、安全かつ円滑な債権の流通を確保するために創設されたのが電子記録債権法に基づく電子記録債権制度です。
そこで、電子記録債権の譲渡担保・質権設定も、電子債権記録機関の登録原簿に譲渡記録・質権設定記録と呼ばれる電子記録をすることによって効力が生じることになります。この譲渡記録・質権設定記録も電子記録権利者(譲受人・質権者)と電子記録義務者(譲渡人・質権設定者)が電子債権登録機関に請求することによって行います。
弊所のコラムをご覧いただき、改めて感謝申し上げます。皆さまとのご縁に感謝し、日々精進して参ります。
東京池袋で企業法務に対応できる弁護士、顧問弁護士をお探しなら「清水法律会計事務所」へ気軽にお問合せ下さい。

東京・池袋の清水法律会計事務所は、元検察官の代表弁護士・税理士が率いる法律と税務の法律会計事務所です。企業法務から相続、債務整理まで幅広く対応し、特に中小企業の法務支援や事業承継・M&Aでは、他士業との連携によるワンストップ対応が可能です。明確な費用提示と丁寧な対話を重視し、初回相談も安心して受けられる体制を整えています。
与信管理等
皆さま、こんにちは。
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1 与信とは
通常、企業間で取引を行う場合には、掛け売りで行われることが多く、商品等の引き渡し時に現金で決済するケースはそれほど多くありません。これは、金銭の貸付と同様の信用を買主に与えるものなので、与信と呼ばれています。
企業は、業績の悪化等によって資金繰りが厳しくなり、債権の支払ができなくなれば倒産につながります。万が一、企業が倒産した場合には、一般債権者の債権は大幅にカットされるのが通常であり、資産がほとんど残っていないような場合には、債権がほとんど回収できないことも多く、債権者から見ると貸倒れということになります。
企業としては、取引先との取引が継続し、債権が支払期日にきちんと支払われることを前提として資金計画等を立てているため、取引先が倒産し、多額の債権の回収が困難になった場合には、企業の経営そのものや資金繰りに重大な影響を及ぼすことになりますし、最悪の場合は、連鎖倒産につながるリスクも抱えています。
2 与信管理
そこで、このような取引先の倒産による貸倒れリスクから企業を守り、事業を維持・継続させていくために、与信管理は企業にとって必要不可欠な業務になっており、そのため審査部等の与信管理専門の組織を設けている企業もあります。
この与信管理とは、取引先の信用状況を調査・分析し、取引先ごとに与信限度、すなわち企業において許容する取引先に対する債権の上限額を設定し、債権額がこの与信限度額を超えないように管理することにより、与信行為により発生する債権の貸倒れリスクを防止し、また、貸倒れリスクが発生した場合の損害の軽減を図ることをいいます。
取引先による取引額の増額や支払期限の延長等は、このような貸倒れリスクの発生につながるおそれがありますので、この与信管理を意識して行うことが必要となります。
3 与信限度の設定
与信限度の設定は、与信管理の要であり、これを守ることにより、与信限度額以上の不良債権の発生を防止するという機能を有し、取引リスクにおける管理を可能とします。
この与信限度には、①売り限度(商品の掛け売り)、②前払限度(商品代金の前払い)、③預託限度(商品等の預託)、④融資限度(金銭の貸付)、⑤借入金等の債務の保証等があります。つまり、与信管理は、商品等の売り先だけでなく、仕入先についても必要となります。
この債権の限度額の算出方法としては、スポットの取引の場合は、当該取引額となりますが、継続取引の場合は、取引期間中のピークの債権額がこれに該当します。たとえば、売買取引の場合は、「商品単価×月間売買見込数量×決済サイト(商品等の引渡し日から代金支払日までの月数)」によって算出します。
通常、与信限度額は、与信見込額(最大債権見込額)をもとに、①取引先の債務情報、②営業部門等の戦略・取組方針、③リスク・リターン(与信リスクに見合った適正な利益を得られるか)、④自社の体力(万が一貸倒れが発生した場合、自社に耐えられるだけの体力はあるか、⑤債権保全措置などを勘案して、企業として取引先に対し許容できる適切な限度額を設定することになります。
4 担保の重要性
取引先が倒産した場合には、会社資産はまず担保権者と優先債権者への弁済に充てられるため、残った資産が一般債権者に平等に分配されることになります。このため、一般債権者に対する配当は一般的には少なくなります。しかし、事前に担保を取得していれば、他の一般債権者より優先して弁済を受けることが可能になります。この担保についても、換価性の高いものが必要であり、債権保全において重要な点になります。
担保は、取引開始時に取得しておくのが基本であり、取引先の信用状態が悪化し、貸倒れが発生するおそれが出てから担保を取得するのは、他の債権者との関係でも非常に難しいということを認識しておくべきです。
担保を取得する場合の留意点としては、①担保物件の現物をきちんと確認すること、②換価性及び担保価値の高い担保を選択すること、③対抗要件具備の手続を迅速に実行すること、④将来の担保の解除や変更、取引の維持・拡大等を安易に約束しないことなどが挙げられます。
担保には、債権者と担保提供者との契約により発生する担保権、具体的には、抵当権、質権、譲渡担保等の約定担保権と、当事者間の契約なくして、一定の要件を充足すれば、法律上当然に発生する担保、具体的には先取特権、留置権等の法定担保権があります。
また、民法当の法律で規定されている典型担保と、民法等の法律に規定されていない、商慣習上発生し、判例で認められるようになった非典型担保があります。担保を取得するに当たっては、担保対象物に応じて換価性等を十分考慮し、どの担保を取得するかを検討しなければなりません。
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取引の審査及び取引リスクの管理その3-2
皆さま、こんにちは。
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本日も企業法務に関する記事を掲載させていただきます。前回の「事業の撤退」というテーマの続きです。
⑶ 整理・撤退の方法
投資企業の整理・撤退の具体的方法については、国ごとに調査を行うことが必要になります。当然といえばそうなのですが、まずは事業としての再建の可能性を検討することが重要です。事業を継続しながら整理する場合は当然ですし、事業から撤退する場合でも、第三者に譲渡するのか、あるいは清算を含め、リストラクチャリング(事業の再構築)の可能性を検討すべきです。
このリストラクチャリングの可能性を検討するには、大別して、企業の債務を整理・再構成して債務返済負担を軽減する債務改善面から見たファイナンシャル・リストラクチャリングと、企業の経営内容や業務の改善をすることにより、より利益を生む体質に改善する運営改善面から見たオペレーショナル・リストラクチャリングがあります。オペレーショナル・リストラクチャリングは、企業のコストを削減し、収益を効率的に上げることにより、キャッシュフローを生み出すための必要な改革となります。余剰人員の削減、労働力の間接部門から直接部門へのシフト、コア・ビジネス以外の営業部門を整理・売却、また遊休資産も処分することに加え、経営管理システムの改善や経営者・従業員のインセンティブ導入など、意識改革も必要とされます。
他方、ファイナンシャル・リストラクチャリングは、企業の財務体質改善のために債務面及び資本面の両面から実施されることになりますが、最も一般的なのは、債務返済のリスケジュールです。元本返済の据置期間も含め債務の返済期限を延長し、金利負担の軽減など、当面の債務負担を軽減する方法です。これらリスケ後の債権を株式に転換(デット・エクイティ・スワップ)したうえ、リストラ後の健全化された企業の株式を再度投資家に売却、あるいは証券化するなどの手法により、企業としては債務負担を減らすこともでき、債権者としても買い取った債権の回収を可能とする仕組みも存在しています。
これらはそれぞれ一長一短があり、どちらが良いかは一概にはいえませんが、その企業の業界の特殊性や、関係国の法整備の状況、整理・撤退に関する当該国家としての制約・制限などを考慮して、選択することが重要になります。
⑷ 撤退条項
共同事業では、通常、事業を行うことを合意したときと同じ状態がいつまでも続くとは限りません。共同事業を遂行する過程において、当該事業を取り巻く環境が変化することもあるでしょうし、それぞれの事業者の当初の思惑が変化することがあります。このような場合に当初の共同事業契約に拘束されることが全ての共同事業者にとって必ずしも最適であるとは限りません。たとえば全事業者の全会一致で決定される重要事項について、意見が一致せずに意思決定ができないために、当該事業の運営に重大な支障が生じることもあり得ます。その結果、共同事業の当事者のいずれかが事業から撤退することになってしまう場合もあります。
共同事業はいつも必ずうまくいくというものではありませんので、このような場合に備え、共同事業につき、あらかじめ一定の期間を定めておく、あるいは、一定の目的を達成したら解散するなどを規定することも少なくありません。すなわち、共同事業からの撤退のための引き金となる事由をあらかじめ当事者間で話し合い合意しておくこともあります。このような共同事業を終了するためには客観的な事由を挙げることが求められます。たとえば、累積損失が資本の50%以上となるような事態は、累積損失の発生に特別な理由がない限り、債務超過に陥ること、更にはその事業の継続が厳しい状態が予想されますので、その時点で、今後の事業展開についての見直しも含め、事業の再検討を行うことが必要になります。このような場合、新たな資本の導入も含め、事業の再構築ができない場合には、共同事業を清算せざるを得ないということになります。
もちろん、いずれかの当事者が事業を引き継いで継続していく場合もありますので、そのような場合の株式や持分権益の譲渡の対価をどう取り決めるかという基本的な考え方をあらかじめ合意しておくことが必要となります。日本の会社法でいえば、反対株主による株式買取請求権のようなものですが、国によっては、このような株式や権益の譲渡に関して、政府等の許認可機関の許認可を必要とするところもありますので、撤退する場合には、特に留意する必要があります。
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取引の審査及び取引リスクの管理その3
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1 事業の撤退
企業運営において重要なことは、整理、あるいは撤退をせざるを得ないと判断した場合に、この整理や撤退をスムーズに行うこと、また整理や撤退に伴う損失を最小限に抑えることであり、そのためにはどうしたらよいかの点です。一般的に、企業にとっては、事業の整理や撤退だけでなく、マーケットからの撤退を意味する場合もあります。また、将来の期待利益を放棄すること、さらには最悪の場合投資額全額の放棄に加え、追加負担さえ生じる可能性があることも念頭に置いておく必要があります。
つまり、事業の整理、あるいは撤退は、いずれも英断が要求される重要な経営上の意思決定であるといえます。この撤退等の意思決定がタイムリーに、適切に行われず、そのうち改善するだろうなどと安易に考えて投資が継続された結果、損害が拡大したようなケースも過去に少なくありません。事業の整理、あるいは撤退をしなければならないときは、果敢に決断すべきであることは、我が国国内での事業の場合だけでなく、海外事業からの撤退についても妥当します。
⑴ 撤退の原因
一般的に事業の整理・撤退の原因が事業パートナーとの考え方の違いであるとかマネジメントの方法などの内部的な問題であれば、マネジメント担当者の交代や、やり方・方法を変えるなどにより当該事業を継続することも十分可能だと思われます。しかし、海外事業からの撤退について、たとえば現地の政治・経済・社会の変化等の外的な要因による場合は、自助努力だけではどうしようもないことが多く、事業の整理・撤退を余儀なくされることも少なくありません。
また、事業投資の目的が明確でなく、あるいは十分なリスク分析ができておらず、商圏の確保ないしその維持のためにはやむを得ない、また他の企業も投資しているから自分たちもというような消極的な理由による場合もあります。投資すべきではない案件にまで投資を実行したため、途中で整理・撤退もできず、損失ばかり拡大して、結果的にこれ以上はどうやっても無理だというところに至ってはじめて整理・撤退を決意するようなケースも決して少なくないように思われます。
現実には、一旦決定し、あるいは実行してしまうと、途中でやめる決断をすることには非常に抵抗が強く、困難を伴う傾向があります。特に事業投資などは投資を一部でも実行すると、それを失うことを過度に嫌がり、ダメだと頭ではわかっていても、いずれ良くなるだろうなどと安易に期待を抱き、そのまま投資を継続してしまうことが少なくありません。
これは意思決定のシステムに問題があるのか、結果が優先という業績評価のシステムに問題があるのか、あるいは他がやっているからという一種の使命感で投資を実行しているといったように、自ら明確な投資目的を設定していないことが原因で、途中で事態が変化した場合に整理・撤退などという柔軟な対応ができないからであるとも考えられます。
⑵ 整理・撤退上の問題
事業の整理、あるいは撤退を考えるに当たり、ここでは、様々な問題をはらんでいるアジア諸国を例として取り上げますが、アジア特有の問題をまず検討することが必要となります。
アジア各国への進出に関しては、当該国の外資奨励政策、自由化という規制緩和の流れのほかに、外資に対しての制約が存在しています。国によっては、業種により様々な思惑から外資側の出資比率に規制がかけられている場合が多く、国内産業保護のために小売業等への外資の出資は認めない、あるいは宗教・社会慣習・社会情勢などによる制約もあります。その結果、アジアにおける直接投資は、多くの場合現地パートナーとの合弁事業の形態をとらざるを得ないのが現実です。これが、事業の整理、あるいは撤退の場合にも関係することになり、自由に持分を処分できないなど合弁事業のリストラや撤退交渉をより複雑にしている面があるといえます。
また、アジア諸国における投資事業の場合には、合弁事業の相手企業の資金調達能力の問題や、日本企業が資金のほとんどを調達する義務を負っている場合や、パートナーが政府関連企業であったり、公共性の高い事業であったり、整理・撤退自体に政府の許可が要求されたりするなど、簡単に事業の整理、あるいは撤退を認めてもらえないような場合が多いのも特徴になっています。そして、事業の整理・撤退についての国ごとの制度や事情は、法的な権利義務を超えて対応せざるを得ない国もあることが、このアジアでの投資事業の特徴の代表的なものであり、事業の整理、あるいは撤退の難しさであるといえます。
たとえば、経営不振に陥り、事業の整理・統合の対象となった中国の政府系ノンバンクに対する外国金融機関の債権回収が事実上不可能になるような事態が発生したことがあります。これは日本でいえば最高裁判所に当たる中国最高人民法院が「債権者の訴えをしばらく受け付けず、既に回収を認めた判決の執行を凍結する。」という内部通達を出したことによります。
日本や欧米でも、破産手続や会社更生手続を行っている場合には、債権回収などのための強制執行手続や訴訟手続などが他の債権者の権利を侵害する場合、あるいは会社の更生に支障が生じるような場合には、これらの手続を停止するという対応も認められていますが、中国最高人民法院が取った上記の措置は、この停止措置の範囲を超えているとも考えられ、国際的なルールを逸脱していると強く非難されているところです。
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取引の審査及び取引リスクの管理その2
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1 M&A取引・事業再編
グローバルな事業活動を展開していくための手段として、新規に法人等の組織を構築するばかりでなく、既存の企業の全部又は一部を買収するということがよく行われています。この企業買収を「M&A」と呼んでいます。対象企業の一部を買収する場合には、既存株主との共同事業にしたり、新たなパートナーと共に共同事業として経営を行ったりする場合もあります。
他方、買収した事業を自社の既存事業と合体させたり、分社化したりするなど、事業を再編することも日常的に行われています。
国内におけるM&A取引、つまり企業買収には、大別して、株式を買い取る場合と、資産や事業を買い取る場合とがありますが、いずれの場合も、当該企業に対する支配権を確保することが重要になります。企業の支配権を確保する場合には、企業の株式買収とか、事業の資産買収にかかわらず、人的資源及び取引先との契約等も承継するかどうかにより、その選択肢が決まることになります。国際的な企業買収とは、買収対象企業やその資産が法制度の異なる国に存在する場合であり、単に商品や情報あるいはその他の権利を取得するだけでなく、経済活動を実施している主体の全部又は一部、あるいは従業員という人的資源も取得する場合もあるために、様々な紛争が生じる可能性があります。
たとえば、企業の設立などは会社法に基づくことになりますが、会社法は、世界に共通して通用するものではないため、個々の国家が制定した法律制度の相違や、当事者間での考え方・価値観の相違により紛争が生じやすくなります。また、買収に当たり検討すべきリスクや法的検討課題が多様化するとともに、買収後の企業の運営や経営上の紛争などが起こりやすく、実際に問題となることも少なくありません。
米国企業を買収した日本企業が、日本とは異なる慣行にとまどい、各種ハラスメントや雇用問題などで多額の損害賠償請求を受けるようなケースも多発しています。また、事前に法制度などを含め、十分な調査を行わなかったために、買収後に予想外の問題が発生し、その処理をめぐり紛争となることも十分にあります。この点は、外国企業が日本において日本企業を買収する際などにも同様の問題が起きます。ちなみに、合併や新たに導入された株式交換などによる企業の買収が行われるようになると、従来適用されていた会社法がどこまで適用されるのかが問われることになります。逆に、株式交換により米国企業の株主となり、その権利義務関係も米国の会社法に準じて理解しなければならないということが考えられます。
他方、複数の企業が合同で企業買収を行ったり、買収後に複数の企業が共同で企業の経営を行ったりするようなケースも少なくなく、一般的に合弁事業と呼ばれていますが、このような合弁事業の運営に関して問題が発生することもあります。合弁事業の運営に際しては、当初の目論見とは異なり、当事者間で意見の相違などが起き、合弁事業の円滑な運営ができなくなることもあります。そのような場合に合弁事業を継続するかどうか、あるいは清算すべきかどうかなどで意見の対立が生じ、当事者間で抜き差しならぬ紛争に発展することもあります。これらの紛争は企業買収そのものというよりは合弁事業という企業の運営に係る紛争というべきものであり、買収後の経営統合という問題をあらかじめよく検討しておく必要があります。
2 経営統合
国内外で、規模の大小を問わずM&Aや事業提携・事業再編等が盛んに行われています。しかし、買収や再編などを行ってみたものの、買収企業と被買収企業との間、あるいは再編の対象となる企業やその役職員等との間において、買収・再編後のマネジメントや組織体制、人事の交流などで支障が生じ、企業経営を円滑に実施することが難しくなり、あるいは失敗に陥るケースが決して少なくありません。
この企業買収後あるいは再編後の企業経営が順調に運営できるかどうかが、経営統合の問題として強い関心がもたれるようになっています。最近では、買収や再編後の経営統合を見据えた買収の検討、特に企業のガバナンス体制や経営体制、つまり経営陣をどう構成し、どのように処遇するかという点、さらには、組織や人事制度をそのまま残すかどうかを含め、経営統合が重視されています。企業の経営統合をスムーズに進めることが、買収や再編を成功させるという点で、非常に重要な企業買収や企業再編等の要素であると考えられています。
この買収・再編後の経営プロセスは、「PMI(Post Merger Integrationの略)」と呼ばれています。M&Aによる統合効果を確実にするためには、M&Aの初期の検討段階より統合を阻害する可能性のある要因等について事前の検証を行い、統合後にそれを反映させた組織統合マネジメントを推進することが重要であるとされています。一般的には、企業買収の場合、ほとんどの関心や努力が買収を実現させることに向けられており、買収直後の経営体制や運営体制までを意識することは、後回しになってしまっているケースが少なくないように思われます。
PMIの対象となるものとして、大きく分けて、①経営統合、②業務の統合、③内部統制の統合、④意識の統合などが挙げられます。④の意識の統合とは、企業風土や文化の統合などを意味するもので、これは短期間では非常に難しいですが、企業買収や経営統合、事業提携を成功に導く上で、時間をかけてでも実現していかなければならない問題だといえます。
弊所のコラムをご覧いただき、改めて感謝申し上げます。皆さまとのご縁に感謝し、日々精進して参ります。
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お知らせ(認定経営革新等支援機関への認定)
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